ご来院時、飼い主さまからこのようなご相談をいただいておりました

ご来院時の症状

・皮膚が赤い
・腋と股が脂っぽくベタベタしている
・臭う
・毛が抜けている
・かゆいのか、よく舐めている

◼️品種:プードル
◼️性別:オス
◼️年齢:9歳
◼️備考:5、6年前に別の病院にてアレルギー性皮膚炎と診断

ご来院時の状態

腋の下から胸にかけて毛が抜けており、皮膚の乾燥と赤みが見られます

股全体が脂っぽく、ベタつきと臭いがあります。皮膚も赤みがあり痒そうです

診断結果

原因は【マラセチア(真菌)】というカビ

マラセチアは犬の皮膚の表面に元々生存する真菌(カビの一種)です
このマラセチアが異常増殖することにより皮膚に痒みや赤みが生じ、触るとベタベタと脂っぽく独特の臭いがします
皮膚の皮脂をごはんにしているので、皮脂の多い犬種(シー•ズー、パグ、ゴールデンレトリバーなど)に多数繁殖する傾向があります

今回ワンちゃんの皮膚からマラセチアが見つかったので、マラセチア性皮膚炎(脂漏性皮膚炎)と診断いたしました

治療法

今回は「マラセブ」というシャンプーを使い【薬浴】というシャンプー療法を行いました
「マラセブ」は、原因であるマラセチア菌を滅殺する目的の動物医療用の薬用シャンプーです
最初は1週間おきで、改善が見られたら1ヶ月おきに回数を減らしていきます

薬浴スタート

マラセブで全身を洗っていきます
脂っぽい部分と腋は念入りに、泡を立たせて5分おいた後しっかり流します
改善が見られるまで週に1度薬浴を行います

■4回目の薬浴

以前よりも少し皮膚の赤みが引いて、毛も少しずつ生えてきました。

茶色になっていた箇所が減り、毛も生えてきました。

■5回目の薬浴

全体的に毛も生えて清潔感もみられます

右胸の毛も通常通り生えてきました

脇の下はもう少し時間がかかりそうです

股周辺の毛を少しカットしました
皮膚の色もほとんど正常に近い色になりました

薬浴結果

胸部分の毛が生え、股部分の皮膚の赤みが正常に戻り、ベタつきもなく著しい改善が見られました
飼い主さまからは「最初の頃より良くなっている」と、薬浴の効果を実感していただきました

さいごに

今回はマラセチア性皮膚炎(脂漏性皮膚炎)の改善例をご紹介いたしました

皮膚炎は改善までの結果が出にくく、治るまで時間がかかる症状といわれています
そしてその原因も様々なので、診察を受けてから皮膚炎の原因を突き止めるまでもまた時間がかかる場合があります
獣医師が指示する治療法への正しいご理解と、根気よく通院されることが皮膚炎改善への近道です

ペットの皮膚炎でお困りの方は、お気軽にご相談ください
その子その子に合った最適な治療法を提案させていただきます

今回の写真は飼い主さまの許可を得て掲載させていただきました
ご協力に感謝いたします。

愛玩動物看護師 神西

監修:院長 神西